2013年4月に閉店

場所
札幌市豊平区美園2条6丁目 [
地図]

説明
クルーズ(Crooz)は、かつて豊平区美園に存在した商業発展場である。手元の資料では、クルーズが開店したのは2012年11月。その5か月後、2013年4月に閉店した。◇
営業当初は、ごく普通のゲイ向け発展場であり女装家向けの店ではなかったのだが、どういうわけか女装子が通う店として定着したようである。
店の経営者は、北24条でランジェリーの販売店を経営していた人物である。その店もすでに廃業している。Googleストリートビューで確認したところ、ランジェリー店は2016年ごろまでは営業していたようである。
なお、中央区すすきのにある「No.6 Gビル」(旧SAビル)に似たような名称のゲイバーが存在するが、名前が似ているだけである。今回、取り上げるクルーズとは何の関係もない。
◎物件
・4階建てコンクリート造の賃貸アパートの4階
◎間取り
・3戸分のワンルームの壁をくり貫いて無理やり繋げた構造。こんなことをして大丈夫なのだろうかと思うわけだが、最上階ということもあり建物の強度に問題はないと判断されたのだろう
・かなり不思議な間取りだが、発展場を開業するために改装したのではなくて過去の入居者の都合と思われる
・室内に凝った細工は一切なし。「みんなで寛げそうな家具をとりあえず置いてみました」という程度であり、ありがちな「ヤリ部屋」とは趣がかなり違っていた。もっともこれは開店して間もない時期の話である。終盤はいくらか設備が充実していたのかもしれない。
※間取りは、筆者の記憶を頼りに起こしたものである。多少の間違えはご容赦願いたい。
◎当時の写真
2013年8月に撮影。クルーズ閉店から4か月後。
筆者の記憶では、緑と赤のクリスマスカラーの建物だと思っていたのだが、当時の写真を改めて見てみると特別、緑色なわけではない。
通路や階段は雑な修繕跡が目立ち、荒廃した雰囲気であった。傍から眺める分には面白いが、「ここに住みたいか?」と聞かれたら決して首を縦に振れない。
建物名は「ミオ・ソーニョII」である。「mio sogno」はイタリア語。日本語で「私の夢」という意味だそうである。「夢は夢でもそれって悪夢だったのでは?」とツッコミを入れたくなる。
郵便受け。チラシが限界まで詰め込まれており、荒廃した雰囲気はなかなかのものである。すべての郵便受けが利用されていたとは限らないが、総戸数は30戸だったのだろうか。
階段を上って行く。
4階。突き当りの部屋が「クルーズ」の玄関である。
廊下に無造作に物が置かれていた。最初は引っ越しか何かで荷物を廊下に出していたのかと思ったが、近づいてみて違うことに気付いた。
繋げた部屋を元に戻す工事をしていたのだろうか。
何なのか不明だが防音材や断熱材の類に見えた。これ以上、先には進めない。引き返すことにした。
ところでこの建物、廊下の手摺りがなんとも頼りなかった。あちらこちら隙間だらけ。入居者に子供がいたら間違いなく転落事故が発生しただろう。大人であってもシラフならまだしも、酔っぱらっていたら危ない。
◎現在の写真
2021年3月に撮影。
建物は解体され新しい賃貸物件に生まれ変わっていた。大家さんが同じだとしたら、賃貸アパートに込めた「私の夢」という願いは時を経て成就したことになるのだろう。
窓の配置に昔の建物の面影があるように見える。間口と敷地面積の都合でだれが設計しても似たような外観になってしまうのだろうか。詳しくは分からない。
最寄り駅/バス停

地下鉄東豊線・美園(H12) (610m)
地図

中央バス・豊平郵便局 (70m)
地図

中央バス・美園3条4丁目 (290m)
地図